Jo in Turangi!

今日はジョーという女性のことを書いておこうと思う。

 

 ジョーにはTurangi という町のバッパーで出会った。Turangiはトラウトフィッシングが有名な町だけど、今回の私の目的は、Tongariro Alpine Crossing というトレッキングコースに挑戦することで、「Turangiからシャトルバスが出ているからそれを利用するといい」という情報を元にやって来た。

 

彼女はそこで働いていて、チェックインを済ませた後も「あなたの国はどんな感じ?」とかニュージーランドの首相の話(ジョーはあんまりジャシンダさんのことをよく思っていないみたいだった。「首相になって最初にしたことといえば、TPPにサインしたことなのよ!?」と言っていた。それはたしかに怒る理由になる。)とか話して、実は「ちょっとグイグイくる感じが疲れちゃいそう、、、」と思っていた。(大きい町のバッパーは基本的にこちらから何か尋ねたりしない限りスタッフさんが個人的な話をしてくることはあんまりなかった。)

 

当初の予定では、着いた次の日にトンガリロに挑戦しようと思っていたのだけれど、天気があまり良くなくて、シャトルバスもキャンセルになってしまったので、ジョーのオススメを聞いて、車でちょっと行ったところにある湖に行くことにした。私の他にも何人か、「トンガリロ、行こうと思ってたんだけどね~」という旅人たちがいて、夜はその人たちと暖炉を囲んでおしゃべりしたりして、とってもアットホームな良いバッパーだった!

 

次の日、湖から帰って来てお茶を飲んでいると、バッパーのチャイムが鳴った。ドアを開けるとおだんごあたまのお姉さんが立っていて、レインウェア姿の私を見て、「トンガリロにはもう行って来た!?」と興味津々な感じで聞いてきた。

「まだー!ほんとは今日行こうと思ってたけど、天気悪くて、、、」

「そうだよね~。私も天気予報チェックしてたんだけど、、」

「明日はどうかな?」

「たぶん今日よりはいいと思う。」

「スタッフさんがチェックしてくれると思うから、聞いてみよう」

というようなことを英語でやりとりし、(後で聞いたら彼女はポルトガル出身のクリスという女性で、アジアやニュージーランドを旅している途中だった)ジョーが来るのを待った。

 

ジョーが来たら天気を確認してもらい、シャトルバスの予約、私は延泊の支払いもした。バスの乗り場には車で行く必要があったので、クリスと一緒に行くことにした。

 

なんでそこまでして行きたかったかというと、冬になる前のラストチャンス!だと思ったから。もちろんあったかくなってからまた来るのもありだけど、ニュージーランドには他にもいっぱい行きたい場所があるので、「せっかく近くにいるし、行ける時に行っておこう!」と思ったのだ。

 

そんなこんなで、私たちガールズ(クリスは35歳、私は30歳だけど笑)ふたりは、bloody cold(めっちゃ寒い)と思われるトンガリロに行くことにし、「何時に出発する?」とか計画を立てていると、ジョーが、「明日帰って来たらディナーを作ってあげるよ!ワインでも飲もう~!」と言う。ジョーの英語はめっちゃ速いので、その時はよくわかっていなくて、「冗談?本気?どっちだろ~?まあワイン買ってあるし、帰って来たら美味しいディナーっていうのは良いな!」くらいに思っていた。笑

 

さて次の日、私たちは無事にbloody coldなトンガリロから帰還し、(トンガリロの話は割愛するけど、日本の山とはまた違う、殺風景だけどありのままの自然に触れられる、でもたまに息を呑むようなbeautifulな景色に出会えるトレッキングコースだった!)

「晩ごはんどう思う?ジョーほんとに作ってくれるのかな?」なんて話をしながら宿へ。

 

するとなんと、ワインを片手にくつろぐジョーが!

「ちょうど今、料理し終わったところだよ~!」と言って、私たちを迎えてくれた!

 

「よく行って来たね~!めっちゃ寒かったでしょ!?」

「うん!でも雨も降らなかったし、風もそこまで強くなかったから、楽しめたよ!」

「それは良かった~!実はね!あの山(たぶんトンガリロのこと)は、私のひいひいひいひいひいひいひいひいひいひいひい、、、、、、おじいちゃんが、初めて登った人なのよ~~~~!!!!」とジョー。

「!?」となる私たち。どういうこと!?

 

ジョーは私たちに、マオリの人々のことを話してくれた。

そのひいひい×∞おじいちゃんというのは、ニュージーランドの先住民、マオリ族の長だったようで、「この地を見渡して、どうやって暮らしていくか考えた」のだという。

そして、今この地での生活がある。

 

ジョー自身は、父親がマオリでTurangi生まれ、母親はデンマークから来たのだという。短い金髪で西洋人顔の彼女は、言われてみなければマオリの血が流れているということがわからなかった。(たぶん、こういう人は他にもいっぱいいるんじゃないかな、、)

 

でもジョーは自分がマオリのバックグラウンドを持っていることをとても誇りに思っている感じで、その日のディナーも「マオリの人たちが食べてた感じにしたよ!」と言って、なんと鹿肉(venison)料理を作ってくれていた!(ちなみに鹿はバッパーのオーナー、ローガンがハントして来たやつ!)

 

Venison=鹿肉 ということがやっとわかって笑、興奮する私!!笑

「私のホームタウン、長野でも鹿食べるよ!イノシシも!」

わ~~、なんか!なんかうれしい!!!

 

マオリの人たちは、鹿とかトラウト(マス)とか、自然のものを採って食べてたんだよ。山菜とかも。this is how we live, eh?(これが私たちが生きていく方法でしょ?) トラウトもめっちゃ美味しいから、食べさせてあげたかったな~」

マオリの世界では、お金を持ってる人が尊敬されるんじゃなくて、鹿肉とかをいかに美味しく料理できるかで人に尊敬されるかどうか決まる」

「たまに、キッチンにゴキブリが出た!って文句を言う人がいるんだけど、ニュージーランドにもともと生えてる木や植物は、ゴキブリたちのすみかなんだよ。だから汚いから来る訳じゃなく、すぐ近くだから来るだけ。」

「私が子供の頃は、マオリであることは隠さないといけなくて、マオリ語も話すことが禁じられていた。今はマオリの文化を残していこう、っていう風潮になっているけど、you know? 失われたものはもう戻らないのよ。」

「最近はマオリの人たちも、スマホばっかりいじって、マックとかケンタッキーとかばっかりいく人もいるけどね!まったく、この世界はどうなっていくのかね~」

とか、いろんな話をしてくれるジョー。

 

正直、全部しっかりと英語、言葉が聞き取れた訳ではないけど、”I feel something!!!!!”という感じで、彼女の考えてること、信念みたいなものが、私が考えてることにすごく重なっていて、spirit(魂)の部分で「わかるー!」って感じがした!言葉の壁を越えるというのはこういうことか~

 

ジョーも、「こうやってゲストにディナーを振る舞うということは、いっつもしている訳じゃないけど、今日はあなたたちみたいなniceな人が、私の先祖が開拓した山に寒い中行って来て、しかも初めてあった二人で!just perfect! 」って言ってた。笑

 

あと、ディナーを食べているとジョーの娘たち(16歳と18歳だったかな?)も来て、ギターひきながらいろんな歌(マオリの歌も!)を歌ってくれた!めっちゃいい声で!beautiful!

 

ロトルアという町で、けっこう観光地化した「マオリ村」にも行ったけど(それはそれでおもしろかった!)、こうやって、「生の」声を聞けるって本当にありがたい。すごく良い経験、出会いだった。

 

は~、なんかすごい日だったな。笑

ちなみにその翌日、こっち来てから初めての風邪をひきました笑

たぶんエネルギーをギリギリまで使ったんだな!

 

Kia ora, Jo!!!

 

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